根っこの治療担当 中西 健人(なかにし けんと)

目次
- 「肉眼での根っこの治療」は、「暗闇の中でボトルシップを組み立てる」のと同じ
- 当たり前のことを当たり前にやる
- 歯の根っこの治療を専門にした理由は?
- 「ちいかわ」が好きです
- 「将来の健康を買う」というイメージ
肉眼での根っこ治療は、暗闇の中でボトルシップを組み立てるのと同じ

自費で根っこの治療が出来るとのことですが、どうして保険じゃダメなの?と思っています。
アメリカなど海外ですと日本のような保険制度がないので、どんな治療も高いです。
日本は保険での根っこの治療の金額が低く見積もられてしまっていますが、自費での金額は本来あるべき姿と思います。

根治:中西

「歯の根っこ」が0.何ミリという細さで、あんなに複雑で細いって知らない・・・「あなたの知らない歯の根っこの世界」ですよね。
具体的にどれくらいというのは難しいですけれど、0.1ミリとかそういう世界です。
一般的な日本の歯医者さんがやっている根っこの治療は、「肉眼」で治療します。
自費の治療や大学病院の根っこの治療は、1ミリ以下の世界の治療なので「マイクロスコープ」を使うのが当たり前です。
「肉眼と顕微鏡(マイクロスコープ)で、どれだけ違うの?」という質問を、結構頂きます。
僕が好きな先生からのお言葉を借りると「肉眼で根っこの治療をするというのは、暗闇の中でボトルシップを組み立てるのと同じ」。
マイクロスコープを使うと「光のある明るい部屋の中で、ボトルシップを組み立てる感じ」。
ボトルシップを作ることさえ難しいけど、肉眼でやるというのは暗闇の中でやるのと一緒だよと。

根治:中西


肉眼での治療=手探りでやる、ということですね?
そうですね。
肉眼で見る=保険の治療=マイクロスコープ無しでやる=盲目的な治療になってしまう。
見えないところにあるものに触る感じ。
マイクロスコープがない時代のベテランの先生方も経験と感覚だけでやっていたけど、機材の発展で機械の力を借りて出来るようになってきた・・・大きな違いは、それなんじゃないかなと思います。

根治:中西

根っこの形って、そんなに人によって違うんですか?
僕みたいな背の高い人もいれば(身長190センチ)、身長の低い男性の方もいらっしゃるように、人によって根っこの形は違いますし、特徴も変わります。
根っこの形の複雑さだけじゃなくて「歯の硬さや長さ」も違うので、治療も変わってきます。

根治:中西

それらはどうやって見るんでしょうか?
「レントゲン」と、3次元的には「CT」で診ます。

根治:中西

確かに、歯の根っこは「立体(3D)」なので、「平面(2D)」だけより情報は多くありますよね。
歯の根っこは、歯の中で繰り広げられる「とても小さくて細い精密な話」ですよね。
どんな器具で治療するんですか?
「ニッケルチタンファイル」という「つまようじより細いヤスリみたいなもの」を使います。
コンマ何ミリの見えないところを手探りで頑張るんですけれど、それをちょっとでも楽にしようということで「マイクロスコープ」という顕微鏡やCTを診つつ、根っこに追従して進んでいってくれる「ニッケルチタンファイル」に頼らないと、100%に近い根管治療(こんかんちりょう:根っこの治療)は出来ないんです。
歯の根っこの治療は、歯内療法(しないりょうほう)とも言います。

根治:中西

確かに、歯の根っこは、歯の内側の話=歯内、ですね!
環境や道具に左右されちゃうんです。
「マイクロスコープ」や「ニッケルチタンファイル」がない状態でやっているのは、普段使っている側からすると怖いですし、患者さんもお話ししてコンサルティングして理解していただければ、保険にしても自費にしても十分納得していただけるのかなと。
僕たちの仕事(根っこの治療)は、あまり人がやりたがらない仕事をやっているよ、という感じです。
保険だと点数が低いし、患者さんも時間が掛かるから面倒くさいなと思う。
みんなが嫌がる仕事を、大学病院で興味を持って真剣にやっています。

根治:中西
当たり前のことを当たり前にやる


こだわりは?
「当たり前のことを当たり前にやる」
中には、当たり前のところを省いてしまう方がいるので、やらなきゃいけないことを全部やる。
患者さんにとって必要なことは全部やる、ということですね。
「面倒くさい」「時間ないからこれはいいか」と工程を飛ばさず、やらなきゃいけないことをやるのがこだわり、ですかね。

根治:中西

もう一人の歯の根っこの治療の田中先生の話で、「ラバーダム」というのが出てきたんですが。


それこそ「当たり前」のことで、ラバーダムを省いてやることが世界的にはあり得ないんですけれど、日本では横行している。
時間も掛かりますが、そこをちゃんとやる人とやらない人が大きい違いなのかなと。
保険でもラバーダムをして、マイクロスコープはないけれどしっかりやる先生もいると思いますが、最初に何が省かれるかというと、ラバーダムが多い。
いくら根っこをキレイにしても「ラバーダム」をしないと、ガンジス川で料理しているみたいな感じです。

根治:中西

先生、例えが上手です!
では「自費も考えようかな」となった場合、保険より回数は少なくなると考えていいですか?
必ずしもそうではないですが、一般的に自費は時間を取って長い時間でやるので、治療が早く終わる可能性は高いです。
→回数や時間について言及している田中先生のインタビューはこちら
とはいえ難しい治療に関しては、それ相応の時間を掛けないと失敗の原因になります。
掛ける時間、使う器具が費用の違いになってきます。
1回の時間は掛かるけど、回数は減らせると思います。
使う器具も自費は毎回新品を使います。
目指すゴールは一緒ですが、自費はそのような「付加価値」が違います。

根治:中西
歯の根っこの治療を専門にした理由は?

どうして「根っこの治療」を専門にされたのですか?
人がやりたがらない仕事だけど、それを大学病院でしっかり向き合っている上司である先生方の背中を見て「カッコいいな」と思って。
誰にも感謝されないかもしれないけれど、縁の下の力持ち、それこそ「根っこの治療」なので見えないところを背負ってやっているのがカッコいいなと思い、その道に進みました。

根治:中西

歯の根の治療は「最初が肝心」と聞いたのですが。
はい、その通り1回目の根っこの治療が肝心・・・一番最初にいい先生に出会えるといいですよね。
運やご縁もあると思います。

根治:中西

娘が歯の根っこの治療をする時に、ネットで結構探しました。
その時、ギラギラした「精密根管治療」の広告を出している医院さんは個人的にちょっと怖いと感じました。
五香ひだまりさんは、専門の先生でもちょうどいい塩梅&誠実だからムチャ振りはされないだろうし、安心して任せられるなと思います。
自費じゃないから手を抜くということは、田中先生も僕もしないと思います。
保険も自費も病気が治らなかったら意味がない・・・過程が違うだけで目指すゴールは同じです。
その患者さんのライフスタイルに合わせて、回数は掛かるけど保険でやる、早く治したい且つよりクオリティの高いもの求めるなら自費と、そこはコンサルティングをして、その患者様に合った治療をすれば足並みを揃えてゴールに近づけると思います。

根治:中西

こういう先生にお願いしたい・・・ギラギラしている先生はちょっと怖いです。
それが好きな患者さんもいらっしゃるので、合う/合わないがあると思います。

根治:中西
「ちいかわ」が好きです

なぜ歯科医師に?
進路を迷っているときに、高校の恩師の先生に文系でも勉強すれば行ける医療関係の大学あるぞ、と教えてもらったのが歯科の道でした。
親戚に医療関係者もいないし、自分が歯で苦労したとかではないです。
入学後、周りの子たちが4年生の大学で遊んでいるときに勉強しなきゃいけなかったので、若い頃はもどかしさもありました。
こうやって卒業して医療という世界に触れてみると、全く違う世界で面白いと思っています。

根治:中西

部活は何をしていましたか?
12歳からゴルフをやっています。
父も祖父もやっています。
今は茨城や千葉方面のゴルフ場に行きますね。

根治:中西

推しは?
「ちいかわ」が好きです。
可愛いところが好きです。

根治:中西

「将来の健康を買う」というイメージで考えてもらえるといい

根っこの治療を考えている方に、メッセージお願いします!
家建てる時に基礎をしっかり打たないと家がしっかり建たないですよね。
豪邸を建てても、下が沼地だったらすぐに倒れちゃうじゃないですか。
根っこ=基礎をしっかり固めないと、せっかくいいものをかぶせても何かしらトラブルが起きて長持ちしない可能性が出てきます。
根っこの治療は途中で離脱しちゃう人が結構いる・・・「1回キャンセルしたから、もういいかな」みたいな。

根治:中西

痛くなくなると来なくなる?
そういうこともあります。
蓋をしてあって痛くなくても、中にはバイキンがいるから進んでしまいます。

根治:中西

途中でやめないでね、ということですね。
「将来の健康を買う」というイメージで考えてもらえるといいかなと。
虫歯も根っこの治療も何事も早めに対処していかないと、治るものも治らなくなっちゃいます。
当院はその道の専門家が多く在籍しているので、大学病院に行かなくても済む可能性のある治療への近道が用意されています。
気持ちも距離も近い医院/先生であればいいなと思いますので、お気軽にお問い合わせください。

根治:中西
取材後記
ボトルシップの船を暗闇で組み立てる・・・恐ろしいなと思いました。
自費にしても保険にしても、いずれも手を抜いて治療をすることはないと話す先生に安心感を持てました。