小児歯科担当 皆川 莉那(みながわ りな)

目次

怖い思いをさせないように気を付けています

どうして小児歯科医に?

歯の生え変わりなど、未来のある子どもの歯科治療だなと思ったからです。

小児:皆川

小児歯科は、一般歯科と何が違うのですか?

やっている事はほとんど同じですが、大人の歯への生え変わりやアゴの成長を考慮しつつ治療をします。
あと、はじめて歯科にくる子が歯科恐怖症にならないように、怖い思いさせないように気を付けています。

小児:皆川

「歯医者が怖い」というお子さんは多いですか?

近くの歯医者さんだと難しいので、大学病院にくる子はいます。

小児:皆川

そういう場合はどうするんですか?

器具を見せて、見通しを立ててあげる・・・本人の中でどの程度受け入れられるのか、子どもたちとお話ししてどこだったら頑張れるのかな?と、相談しながら進めます。

小児:皆川

コミュニケーションをちゃんと取って、分かってもらって、知っていることで怖くないようにする。

ということを、五香ひだまり歯科さんでもやってもらえるということですね?

そうですね。
泣いても大丈夫です、泣いても何で泣いているのか?を聞いてあげます。

小児:皆川

何が怖いのかまでくみ取るなんて、そこまで心配してもらえるんですね。治療だけでなく、治療に対しての向き合い方まで面倒見てもらえると思わないです。

そこが小児歯科として、一般歯科と違うところです。

小児:皆川

小学校の給食、時間内に食べ切りたいけど食べられない

MFT(Oral Myofunctional Therapy:口腔筋機能療法)をやっているそうですが。

最近問題になっている「口腔機能低下症」で、将来誤嚥性肺炎にならないように、今のうちにお口の機能の発達を促してあげることに力を入れています。
「お口ポカン」、つまり口唇閉鎖不全症(こうしんへいさふぜんしょう)の子も多いですね。
お母さんが意外と気づいていないパターンが多いです。
お話を聞いていくうちに「あ、そういえば」というパターンが多いです。
診察室に入ってくる時や待っている時にお口が開いているとか、つばを飲み込むときにベロが出てくる、歯と歯の間にベロがあって赤ちゃんぽい、などのポイントをみます。
治療中の診療の様子やうまく筋肉が使えていない、姿勢が悪いなどで、コチラからお声がけすることが多いです。

小児:皆川

お母さんのリアクションは?

「あ、確かにそうですね」と。
小学校の給食の時間が短くて、間に合わなくて食べ切りたいけど食べられないというのもあります。

小児:皆川

それは切実な問題ですよね。

離乳食の本には、「歯の本数」じゃなくて「月齢」で書いてある

離乳食も、「なかなか後期食から普通食に進まない」とか「食べこぼしがある」などそういうところから聞いていくと、意外と悩まれているなという印象です。

小児:皆川

実際どういう治療を促しますか?

大学だとその専門の科があります。
実際に食べているところを見て、筋肉を動かしてもらって、体操に近いマッサージなどをする。
開業医だと、ベロの動かし方や、お口ポカンにならないようにお口周りの筋トレがメインになります。
動画でおうちの様子を録画してきてもらって、カウンセリングすることできます。
「リップルトレーナー」というのもあるので、お家でやってもらうのがいいですね。

小児:皆川

根気よく続けられるかが一番心配ですが(汗)、どれくらいで効果が表れてくるんですか?

その子にもよるんですけれど、2~3か月でガラッと変わる子もいます。
低年齢の方が変わりやすいですね。

大きくなってくると癖を治すのが難しくなってくる、あと歯が生え変わって大人の歯になると難しいところもあります。
1年間は保険で診させてもらえます。(口唇閉鎖不全症)

小児:皆川

このタイミングがベストだよ、というのはありますか?

早い方がベストだといわれていて、離乳食の頃から診られればいいかなと。

小児:皆川

歯が生えるか生えないかのタイミングなんですね。

そこで離乳食の形態が合ってないと、丸呑みしたり変な食べ方を覚えたりしてしまいます。

小児:皆川

先日話を聞いた衛生士さんは、ハイハイの仕方も大事と話していましたが、「そんなの知らなかった~早く言ってよ」という気持ちでした。

そうですね。
寝返りを打つなどの粗大運動(そだいうんどう)がどうなっているかを、大学では聞いたりします。

小児:皆川

それはもはや「生まれる前から来てください」という感じですよね。

確かに。
離乳食の本には、「歯の本数」じゃなくて「月齢」で書いてある。
それでは、お母さんたちが歯の本数に合わせて食形態を変えるのは難しいですよね。

その子の「口の発達」に合わせてというより、「月齢」に合わせて、になっちゃうな。

小児:皆川

月齢でなく、歯の本数に合わせた離乳食の進め方の指標があるんですか?

奥歯が出てないのに、硬いもの/歯ぐきでつぶせないものは、丸呑みするしかないんです。
奥歯が出てくるまでは、歯ぐきでつぶせる大きさのものがいいとされています。
そのときに硬い肉をあげていると、前歯で噛んだり丸呑みの癖が付きます。

歯の萌出(ほうしゅつ)時期を見て、歯の本数を考慮して食べるものを変えていくのがいいと、いろいろな患者さんを診て思います。

小児:皆川

育児書で、歯の本数のステップごとの離乳食アドバイスの本があったらいいと思います。

そう思います。
本によってはそこまで書いてあるものもあるけど、一般的には月齢ですよね。

小児:皆川

子どもの歯磨き、どうしたらいい?

うちの子と他の子、比べてしまいがちですよね。
あと、お母さんのお悩みは「子供の歯磨き」ですよね。

前歯だけ生えているときは、歯に溝があるわけではないので「ガーゼ」や「歯ブラシシート」を使います。
その頃から口にモノが入ることに慣れてきてもらう。
奥歯が生えてきたら溝が深くなるから、歯ブラシをしてほしいです。
難しい場合は、食べ物飲み物でコントロールを一緒にしていきましょう、ということを提案しています。

小児:皆川

歯ブラシだけ、甘いものだけ、どっちかだけでなく、どちらもバランスを取ればいいんですね。
歯医者さんでそういう相談もしていいんですか?

そうですね。
「口の中に甘いものがずっとある」というのが一番よくないんです。
間食も「3時のおやつ」といわれているように、ずっとダラダラ食べずにその時間だけ食べるというふうにする・・・唾(ツバ)が口の中を中性に戻してくれる作用があるんです。
ずっと「酸性」でなく、唾液の力を使って「中性」に戻してほしいでの、おやつの時間を決めてもらう。
口の中のpH動きを表したのが、下記の「ステファンカーブ」です。

小児:皆川

出典:日本歯科医師会

「口の中が『中性』に戻るタイミング」がないとダメなんですね。

ずっと酸性=脱灰(だっかい)=ずっと歯が溶けているという状態になります。
ずっとジュースを飲んでいる=歯の表側に甘い糖が残って虫歯になります。

小児:皆川

舌小帯短縮症

舌小帯短縮症って、知られていないです。
私も知り合いのお子さんがそうだと知って、初めてその単語を知りました。

え?そうなんですか?

小児:皆川

先生はみんなそう仰るんですが、知られてないですよ。(汗)
担当は小児科ですか?口腔外科ですか?

小児に来ることが多いですね。

小児:皆川

「うちの子、舌小帯短縮症なんです」と来るお母さん、ほぼいないと思います。

ベロを出したときに「ハート状」だったり。
あと、3歳児健診の項目のチェックに引っかかってくるお子さんもいます。

小児:皆川

ベロの下の「舌小帯」を切る治療もあると聞いたんですが、親からしたらそんなところ切るなんて!と思っちゃうのですが。

小帯を切る前に「ベロのトレーニング」が一番大事です。

小児:皆川

「切る前にトレーニングが先!」ということでしょうか?

ベロを上に動かすことを覚えないうちに筋を切ると、結局ベロが下がった位置で傷が治ってきちゃうので、より小帯が短くなってしまいます。
小帯は「筋(すじ)」なので、意外と伸びてくれたりするんです。
ある程度その子の中でベロを動かすというイメージが出来るようになってから、形を整えさせてもらって、その後もトレーニングを続けてもらって、伸びたまま傷が治るようにしてもらうのが大事です。

小児:皆川

切ればいいってもんじゃないんですね。

そうですね。
トレーニングをしないと、切った意味がなくなっちゃいます。

小児:皆川

素朴な疑問ですが、ベロの位置は、下じゃダメなんですか?

ベロの位置は、ご飯の食べ方や歯並びの悪さ、口呼吸(お口ポカン)にもつながってきます。
この話をすると、なるほどとなります。

小児:皆川

ご飯の食べ方・離乳食の進め方指導も「歯科的アプローチ」から出来ます

マイブームは?

「シール集め」です。

小児:皆川

え?何のシールですか??

ちょっとプクッとしたやつとか集めて、先輩と交換したり・・・。

小児:皆川

小児歯科だから、子どもが「○○できたね!」でシールを貼る文化圏、なんですね!

治療が出来たら渡すので、渡せたらいいなと思います!

小児:皆川

五香ひだまり歯科に来ようかどうしようか迷っているパパママに一言、お願いします!

ご飯の食べ方や、離乳食の進め方の指導も歯科的なアプローチから出来ます。
口腔機能を含めた指導は、歯科じゃないとできないと思うので、頼ってもらえると嬉しいです。

小児:皆川

歯が生えたか生えてないか、の頃からウェルカム!ということですね!
というか、子育て中に知りたかったです。
昔からそういうの、ありました??

いや、最近です。
授乳の悩みとか、離乳食が進まないとか、結構多いんだなと。
早くから保育園に預ける子が多くなって、より周りの子と合わせたいというお母さんが増えている気がします。
その子のペースでいい、ということをもっと知ってほしいです。

小児:皆川

取材後記

これだけ情報があふれている時代だからこそ、目の前にいる人から聞く情報の信ぴょう性・安心感は段違いです。
子育てに心配や不安はつきものですが、家の近くに専門家がいる歯科医院があるだけで気持ちが安らぎます。

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